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つきささる【夫のちんぽが入らない】

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つきささる【夫のちんぽが入らない】

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悩みは育ててしまうもの

これは笑いごとではないのだ。
普通にできると思っていたことが、できない。
誰にも聞けない。

人は、悩みというものをそばに置き、育てることが本能的に好きなようだ。好きなことを考えることは、人という種にとって最上の喜びのひとつだ。だから、考え始めたら止まらないようにできていると推測できる。

考え事が自分にとって良いことであれ、悪いことであれ、人は考えすぎるということが、あたりまえなのではないか。

しかし、たいていの悩みのタネは意外と小さく、他人に話してしまうと「なんだそんなこと」と一蹴されることも少なくない。しかし、この筆者の悩みはそう単純ではないのだ。

こんな人におすすめ

「夫のちんぽが入らない」という悩みを抱えながら過ごした20年を、ユーモアをまじえながら赤裸々に語ってくれている。「あなたの悩みと比べてみて」というつもりはないが、新たな視点を得るという意味ではとても良い本だ。だからこそ、こんな人に聴いてほしい。

  • 人に言えない悩みを抱えている
  • 教師という職業の側面を知りたい
  • パートナーのアレがデカい

タイトル負けしない深い人生訓

タイトルを聴いて、良くも悪くも、感情が揺さぶられない人はいないだろう。あまりに衝撃的だ。私もそれでつい、聴いてしまった。

性的な状況がつらつらと書かれているのかと思いきやそうではない。「ちんぽが入らない」のは、著者が悩みを描くためのトリガーであって、その悩みを軸に、教師としての悩み、家族関係の悩み、そして夫との関係の悩みがつづられている。

全編をとおして「ちんぽ」という言葉が何度もでてくる。「ちんぽ」という語感を、これほどまでに切なく感じたのは初めてだ。「ちんぽ」で良かったと思えた。「ペニス」だと内容として重すぎるし、「ちんこ」だと軽すぎる。「ちんちん」では幼稚すぎる。

自己否定と向き合って

筆者は「ちんぽが入らない」のは普通ではないという起点から、自分という存在を否定していくようになっていく。どん底で自殺も考えもがいていたころ、ひとりの生徒との関係を通じ、少しずつ少しずつ浮上していく。浮上したところは楽園ではないけれども、息もできないような場所ではない。

「プールの底にいる気分」という描写がある。聴いていて途中は本当に苦しい。浮上することがあるのかと思ってしまう。しかし、最後まで聴いてみてほしい。

素敵な2人

ちんぽがが入ろうが入るまいが、作中で描かれた夫との関係性は、うらやまい一面もある。バディ。恋人を超えて心でつながっている関係。しかも、その関係は、ときが経つにつれさらに進化していく。ある意味、二人の人間の関係性の究極形態のひとつかもしれない。

淡々と、しかし心の奥の感情をチラ見せしながら

筆者本人の声を聴いたことはないけれども、まるで本人が語っているような落ち着きと、爽やかさが感じられる声がよかった。自叙伝特有のかまってちゃん臭もなく、スカッとした読み口で、歯切れがよく好感をもった。もぎあての梨にかぶりついたような感覚。
男性の声も自然で上手に演じ分けている。男性の声は壁に隠れているおばさんが日本一だと思うけれども、この人も淡々としながら愛情がある夫婦の会話のシーンなどは良かった。

最終評価と概要

人付き合いが苦手で、しかも、ちんぽが入らないパートナーと結婚し、教師という職業を選んで、人間関係に悩みながらも、自殺を考えながらも、それでも小さな小さなできごとから、生きていく力を見出していく。その力に少しでもあやかりたいと思った。こう書いてしまうとありきたりだけれども、原点を「ちんぽが入らない」ところに置いたところが秀逸なのです。

夫のちんぽが入らない (講談社文庫) [ こだま ]
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この本の朗読評価

これはいい。ぜひ聴いて!

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ナレーター(Wikipediaから)

永吉ユカ
日本の女性声優。大阪府出身[1]。オフィスPACに所属。

作者(Amazonから)

こだま
主婦。2017年1月、実話を元にした私小説『夫のちんぽが入らない』(扶桑社)でデビュー。たちまちベストセラーとなり、「Yahoo!検索大賞2017」小説部門賞受賞。二作目のエッセイ『ここは、おしまいの地』(太田出版)で第34回講談社エッセイ賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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